言語習得における遺伝的要因と環境要因
言語習得には、遺伝子要因と環境要因の相関関係があると考えられています。
言語熟練度は遺伝的に影響を受ける能力であり、モチベーション、方向性、教育、学習者戦略などの環境要因と相互作用しています。
大規模データを使用して、性差を分析
遺伝的要因の一つとして、性別があります。
第二言語の習得において、男女差があるのかについて分析した研究報告(PloS One, 2015 Nov 5;10(11):e0142056)があります。
この報告では、成人学習者 27,119 人に関する情報を含む大規模データベースを使用し、出身国と大陸間、母語と言語家族間で性差が分析されました。
また、オランダ語を第二言語としている方を対象としています。
オランダは49の母語を持つ88ヶ国からの移民で構成されていると言われています。
女性学習者の方が男性学習者よりも、第二言語のスピーキングとライティング習熟度が高い
第二言語について、女性の学習者と男性の学習者を比較したところ、
スピーキング能力とライティング能力のいずれも、女性学習者は男性学習者を上回っていました。
上記の”男性の学習者よりも女性の学習者の方が、スピーキングとライティングのういずれの能力も優れており、男女差がある”という事実は、
教育、到着年齢、居住期間、第二言語学習時間など、他の要素を考慮した分析においても、変わらず一定のままでした。
第二言語のスピーキングとライティング習熟度において、男女差は大きな要因となっていますね!
リーディングとリスニング能力については、男女差は見られない
一方で、リーディングとリスニング能力については、男女差は見られないという結果が得られました。
以上の結果から、第二言語のリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングという4つのスキルにおいて、
リーディングとリスニングにおいては男女差がなく、
スピーキングとライティングについては、女性の学習者の方が男性学習者よりも能力が高いことが分かりました。
特に女性の方は、この利点を活かして今後の勉強の方向性も考慮していきたいですね