早期の第二言語学習は良い。言語への曝露量の重要性は
幼い頃の第二言語の学習は、聴覚脳幹の機能的神経可塑性の推進要因と考えられています。
これは、早期の第二言語獲得が、第二言語の処理中に聴覚脳幹の機能的神経可塑性を誘導することが示されているためです。
しかしながら、これらの影響が成人期まで安定して続くかどうか、また幼児期の第二言語への曝露量がその結果にどの程度影響するかは分かっていません。
幼い頃から、第二言語として英語学習を始めるのは良いとして、どれくらいの労力や時間をかけるとよいのか気になります。
バイリンガルを対象に、英語の母音を分類する能力を比較
そこで、第二言語への曝露量について知るために、
第二言語習得年齢と幼児期の第二言語への曝露量が異なる成人バイリンガルの3つのグループを比較した研究論文(Brain Lang, 2020 Aug:207:104815)を紹介します。
この研究では、英語とフランス語の成人バイリンガルを対象としています。
同時バイリンガルと、英語ーフランス語(英語>フランス語)のバイリンガル、フランス語ー英語(フランス語>英語)のバイリンガルの3 つのグループについて、英語の母音を分類する能力について比較しました。
テストの時点では、認知能力と両言語の流暢さは、(1) 同時バイリンガル (SIM、N = 18) の間で一致していました。 (2) L1-英語の逐次バイリンガル (N = 14)。 (3) L1 フランス語による逐次バイリンガル (N = 11)。
その結果、英語ーフランス語(英語>フランス語)グループは、
フランス語ー英語(フランス語を先に学習)グループと比較して、母音の識別が優れていました。
さらに、同じ母音によって引き起こされる頻度追従反応 (FFR) と呼ばれる反応についても同様に、
英語ーフランス語(英語>フランス語) > 同時バイリンガル > フランス語ー英語(フランス語>英語)の順に、FFR 応答が大きくなりました。
この結果は、 その言語への曝露量(100%対50%)が、その言語の音声カテゴリーの知覚能力や聴覚脳幹の機能を形成しないことを示唆しています。
つまり、脳幹における神経可塑性の影響が若年成人期まで安定しており、第二言語曝露量が行動や脳幹の可塑性に影響を与えないことになり、
生後数年間に言語にさらされると聴覚脳幹の機能的神経可塑性が誘発され、その神経可塑性は少なくとも成人期まで安定した状態を保つことが示されました。