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母国語である第一言語と、第二言語の関係性は気になりますよね。
具体的な例として、第二言語の習得年齢や習熟度が、第一言語と第二言語の脳内ネットワークの類似性や相違性にどのような影響を及ぼすかについては議論が盛んにされています。
英語を第二言語とした習得したバイリンガルの機能的MRI分析
今回紹介する研究報告(Brain Lang, 2020 Apr:203:104740)では、異なる年齢と異なる習熟度で英語を第二言語として習得した26名の成人中国語・英語バイリンガルを対象に、機能的MRIを用いて、文理解課題中の第一言語と第二言語の神経類似度を定量化しています。
第二言語の習得年齢が早いと、脳の活動パターンが変わる
その結果、第一言語処理と第二言語処理は類似した脳領域を活性化したが、習熟度の影響をコントロールした後では、第一言語と第二言語処理の神経パターンの非類似性が高いほど、左下前頭回と中前頭回における習得年齢の早期化と関連することがわかりました。
一方、習熟度と第一言語-第二言語間の神経パターンの非類似性との関連は、習得年齢の影響を除いた場合には有意ではありませんでした。
この結果は、第二言語を早く獲得したバイリンガルでは、第二言語の活動パターンが第一言語の活動パターンより明瞭であること、神経パターンの非類似性に対する習得年齢の寄与が習熟度の寄与より大きいことを示唆しています。